剣道の「三所避け」を本当に無くしたいなら

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剣道において、左拳を高く挙げて、面と小手と胴を同時に守る変則的(?)な防御姿勢を「三所避け」というらしい。「三所避け」がなぜ、剣道においてふさわしいと言われないかは稽古方法としての考え方にあると以前述べた。

剣道の「三所避け」

その後、色々と探していたら、全日本剣道連盟の公式HPで真砂威という方が丁寧に述べてくれていた。神戸学院大学教授の前林清和という方の考察も踏まえて書かれていることがとても参考になる。

”三所避け”はなぜ悪か

今では、中学校体育連盟(中体連)では反則をとるらしい(突きがないからか?)。その他の試合でも時間空費という名目で反則が取られるようになった。ネット上でも「三所避け」に対しては、たくさんの方が、その是非や対応策について色々な視点で述べている。

そうした風潮の中、私の師匠は次のように言っていた。

「あの構え(「三所避け」)を無くそうとするのはわかるけど、反則を取り続けたってそれは無理だよ。本当に無くそうと思うならね、あの構えをとった相手に対して、正しく面を打った場合に限り、一本とすればよい。反則にしている限り、「どの程度で反則になるのか」を選手が審判を試すようにもなるし、審判からすれば勝敗を決してしまう可能性のある2回目の反則は取りづらい。だったら、一本にするということで、その守りが不利になり得るし、その守りを取らせるために攻め方を厳しくすれば打突よりも打突前の工夫が選手から起こるだろう。もちろん左小手も有効だよね。要するにね、反則の種類を増やすんじゃなくて、一本の幅を広げてやればよいと私は思うよ。当然、剣道特有の稽古方法の範囲の中でね。」

と。極論ではあるし、実現に関しては非常に難しい可能性がある。だが、例えば心ある指導者であれば、部内の選手選考にこの考え方を用いるなど、工夫のしようはあるようにも思う。

少し前に、兄弟子に「三所避け」の体勢を相手がとった際、どう解決していけばよいのか聞いた時がある。兄弟子の答えはシンプルであった。

「構えから守りの姿勢をとるということはその間に隙が生まれる。左拳が頭上に到達する前に、つまり守り切る前に面を打てばいいだろう。」

と。考えたこともなかった。無理なく無駄なく無法なく。針谷夕雲という人もいっていた、ただ下ろすのみ。我々が目指すは、構えた姿勢から、機会を捉え(作り)、無駄なく打突するということ。

一番単純で一番難しい。

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