杖道ってなんですか?何度も何度も聞かれた質問である。意外と多いのが、「柔道とは違うの?」という言葉である。何となく韻が似てるとはいえ、、、それよりもなによりもやはり柔道はメジャーだ。まあ、世間の認知度など計り知れないほど低いものであることは分かっているからそれほどショックは受けない。というより、知る前までは誰だって知らない、全く知らないまま人生が終わるものは誰だってある。それほど世の中に広まっていないものでも、広まる必要性が高いとは確信をもっては言えないまでも、私は出会い、今なおのめりこんでいる。だから、こんな個人の戯言にお付き合いいただける人のためにも、ここで杖道はこんな感じのもの、そしてこんな道具を使うものということを言っておきたい。
だいたい、分化した武道は使用する道具がその名称となる(もちろん例外はある。「柔道」がそれだ。)杖道もその例に漏れず、「杖」を使用する武道である。私がメインで紹介する杖道は「全日本剣道連盟杖道」であり、その元となった「神道夢想流杖術」である。したがって、ここで杖道という場合は「全日本剣道連盟杖道」であるとういうことを理解してもらいたい。
杖を扱う武術には様々な流派が存在し、道具である杖においても長さや形状などはそれぞれである。杖道は身体の大小に関わらず、四尺二寸一分(約128cm)、直径八分(約2.4cm)の杖を使うことが原則とされている(ただし、現在では長さや太さなど、その人によってある程度調整する方も出てきている)。そして材質は白樫である。
杖道の特徴としては、表も裏もなく、上も下もなく、前も後ろもない杖の形状を生かし、攻撃や防御において時には槍のように、時には薙刀のように、時には太刀のように使い方が千変万化することにある。これを端的に表している古歌として次の歌がよく紹介される。
突けば槍 払えば薙刀 持たば太刀 杖はかくにもはずれざりけり
とはいえ、ここまで使える人はめったにいない。というより、戦闘のない現在の状況では試しようがなく、形の中でその一端を感じていくしかない。だけど、私のように形をいかに上手にできるようになるかを終始している人間にとっては、とても到達できないと今は感じている。
私の師匠は今でも毎日毎日言っている。
形はあくまで稽古法。それぞれの流派の技術や考え方を伝える方法の一つ。形をうまくできること、覚えることが最終の目的ではない。
杖道の上達の方法として形が存在するはずなのに、形の上達を目的としてしまっている自分は、師匠に稽古の度に諭され、「言いたいことはわかっているよ!」と悪態をついている。あくまで心の中で、、、
上記の言葉から、おそらく「形」による稽古形態なのだろうと察しはついた方は、武道オタクのお一人であろう。
まずは、杖道で使われる武器、その武器を用いた技術の特徴、形稽古で行われるということのみをここでご理解頂きたい。少しずつ、詳しく書いていくので。
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